今回の記事では24年間自衛隊で勤務した私が、高校生から入隊する隊員の多くが経験する自衛隊のきついことについて詳しく解説します。
記事の中では陸上自衛隊の話として『陸』という文字を多く使っていますが、海上でも航空でも大差ありません。陸曹は海曹や空曹に読み替えて読んでいってください。
本記事の内容
- 高卒で自衛隊に入ってきついこと5選
- きついこと5選の解決方法
- 早く昇任する方法
- 給料や自衛隊での生活
高卒から自衛隊に入ったら、体力的に、待遇的にきつい事が多いんじゃないの?どんなきつい事があるんだろう・・とお悩みの方に
高卒で自衛隊に入隊して経験する5つのきつい事とそのかんたんな解決方法をお伝えします。
入隊前によく読んで入隊しましょう。
高卒で自衛隊に入って経験する5つのきついこと
まずは結論から、ここで紹介する5つが高卒で入隊した人が経験する自衛隊のきついことです。
高卒で自衛隊に入隊して経験する5つの『きつい』こと
- 前期教育の3ケ月間
- 部隊配属のあとの人付き合い
- 外出禁止
- 陸曹になるための試験
- 偉くなるのは難しい
高卒で自衛隊に入隊して経験する5つの大きなきつい事を深堀して、対策法も解説していきます。
1、前期教育は高卒から自衛隊に入り基礎を学ぶ3ヶ月間
高卒の9割近くは『自衛官候補生』『一般曹候補生』で入隊します。この両方とも、前期、後期教育はおなじ教育内容を一緒に受けます。
階級がついてて将来陸曹になる『一般曹候補生』も2年の任期制の『自衛官候補生』も入隊する時は、ただの高卒ですから同じ教育内容です。
前期教育では正に自衛官の基礎、新人教育ですね。部隊いって仕事始めても基礎の基礎が分かるレベルの教育をします。
前期教育できついこと
- 団体生活
- プライベートの時間はほぼなし
- 同期との団結
- 体力的にきつい
前期教育の内容は難しいレベルの事はないのですが、とにかく時間が無い。プライベートの時間はよく考えたら、ほぼありません。
私は生徒なのでこんな生活が約3年間。よくやったなと今では思います。もう今やれっていわれても絶対に無理です。
前期教育3ケ月間の克服方法
耐えるしかない、隣をみたら同期の仲間がいます。自分だけではないので励ましあいましょう。
前期教育の3ケ月間は今までの生活とは180度変わった生活になります。
朝から夜寝るまでずっと、分刻みの生活で時間に追われて活動しているような生活です。
どうしても今までとの生活とのギャップで前期3ケ月で10%超えるくらいの隊員が辞めていきます。
解決方法はズバリきついのは自分だけじゃない。たったの3ケ月、このきつさは3ケ月で終わりだから耐えよう、こう唱えるしかありません。
後期教育は生活面より、技術的な教育になるので楽な生活になります。
私もまだ若かったので、正直泣きそうになって帰りたいと思うことも有りました。
2、部隊配属の後は先輩との人付き合いがきつい
結論:人の悩みは9割が人付きあい、そういう人なんだと観念する。
これから例をだしますが、人の悩みは人付き合いが9割。人をかえようとするのではなく、「この人はこういう人で、かわいそうな人なんだ」と干渉しないことが大切。自分が必要以上にこの人に干渉しなければいいんだと言い聞かせる事が大切です。
やっぱり先輩の指導は厳しいと感じるかもしれません。時間的な制約は少しは薄くなりますが、朝一番早く出勤するのは『若手の小僧』という日本の慣習が色濃く残っているので、職場の鍵開けや朝の掃除やゴミ出しなんかは最初の1年間、後輩が来るまでは一番階級が若い人がやります。
先輩のこまかい指導の下やるのですが、先輩もあんまり優秀な人じゃない時は特に意味のない指導も多いです。
毎日、床をはいて、金曜日にはモップ掛けする。
これは自衛隊の職場で一番多い掃除あるあるですが、慣習でそうやっているだけで汚れているからやるわけではありません。現にすぐそばにホコリが溜まっている場所が有っても無視。いつもやっている掃除をやるのが正解になります。
なので、今日はあんまり汚れてないからいいやと掃除しなかったりすると、『なんで掃除しないんだ』と指導があります。
そこは、床がきれいか汚いかはあまり関係なく、やったかやっていないかが重要なんですね。
こんなことが毎日のいろんな仕事でたくさんあって、先輩は後輩をあいつは云う事きかない、後輩は先輩を変な指導ばっかりする変なヤツ、としか思わなくなり仲も悪くなって・・・もう自衛隊の若い子の日常はこんな感じです。
そして、後輩は先輩を見習って、同じ指導を後輩にできるように育っていきます・・
もうこんなことを何十年も自衛隊はやっています、ほとんどの部隊で。
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3、部隊では一番きつい外出禁止
土日は普通外出ができます、日帰りの外出です。部隊にもよりますが慣習で新隊員は最初は普通外出のみです。
士長になったら、休日等外出(土曜日は外泊可)もできるようになる、なんかの時期は部隊によって違います。
ただ、これとは全く別の折檻的、罰的な外出禁止がある部隊が多いです。
あなたの外出禁止宣言をするのは大きく3人
- 中隊長
- 先任上級曹長
- 営内班長
外出する時に印鑑だけ打つ人たちです、この人たちの機嫌を損ねると外出禁止というド級のペナルティが待っているのでデリケートに扱う必要があります。
- 体力検定不合格
- 迷彩服のアイロンがけができていない
- 半長靴がきたない
- 現況調査の被服の準備不足
- 寝坊して遅刻した
この3人はいろんな理由をつけて外出禁止の機会をうかがっているといっても過言ではありません。
外出という自由を勝ち取るためにこの3人にスキを見せない。これはとても重要です。
外出禁止でも気にしない人はストレスにならない人になれ
外出禁止でも、パソコンがあったりタブレットが有れば営内サイコーというメンタルを身につける事ができれば最強です。
自衛隊の中で最強になれます。最強は幕僚長でも部隊長でもありません。
閉ざされた営内の中でも満足できる環境づくりとメンタルづくり。これが自衛隊のなかできついを克服できる最強です。
いろいろ書きましたが、外出禁止にならないように、馴染むようにしてください。良くも悪くも目立たない方がいいかもしれません。
4、陸曹になるための試験は精神的にきつい
結論:陸曹候補生選抜試験の勉強会は努力を無理強いされます。
陸士長になって、陸曹になるための試験が近づくと、本人の希望とは全く関係なく、部隊はどうやったらこの子を早く合格させるかに奔走します。
どの部隊でも、一般命令きって『一般曹候補生』と『自衛官候補生』の試験合格を目指した訓練を始めます。
訓練内容 | |
午前 | 勉強(自衛隊法令、一般問題) |
午後 | 面接、体力練成、基本教練 |
夜間 | 自習 |
朝から、夜まで陸曹と最先任上級曹長がつきっきりで指導します。部隊によっては最先任の仕事はこれだけだと思っている人もいるくらいなので、もう神経注いで指導するわけです。
こんなの1ケ月もしてれば神経削ってうつになりそうです、特に面接で助教と最先任はどうやって論破するかばかり考えて面接指導するので、みんな鬱気味になります。
一回で合格すればいいですが、不合格になったら、半年後にもう一回訓練参加。
これで『一般曹候補生』の隊員は「次の試験は受けません」って言ってくる人が1割はいるし、不合格者の9割くらいは訓練参加したくないって切実に悩みます。
一般曹候補生ならそのうち合格するので、頑張らないで体力検定だけ最低点でもいいからできるようにする。これがメンタル削らない方法です。
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5、高卒で自衛隊に入ると偉くなるのも大変できつい
結論:高卒で入隊する人でCGS合格する人はほぼいません。FOC合格なら結構います、2佐までってことです。
幹部になっってもやっぱり試験と成績順からは逃れられません。FOCに合格したら、最低でも2佐にはなります。
幹部になるだけだったら、どの職種でもそんなに難易度は高くありません。試験も難しくないので仕事の合間にコツコツ勉強すれば合格できるでしょう。
でも、CGSは防大やら一般幹候の人達でも不合格になるくらいなので自分のやる気と素養を冷静に俯瞰しましょう。
FOCくらいなら合格できるので、こっちを現実味と考えて勉強しましょう。まーどっちも勉強内容は同じなのでCGS不合格でFOC合格目指すがほんとの所です。
幹部になっても部内幹候で無印だと階級は概ね3佐どまり。自殺の多い1尉や3佐の期間が長くなってしまうので、結構つらい自衛隊人生になるかもしれません。
高卒が陸曹で偉くなる方法
結論:陸曹で最先任上級曹長目指すなら、陸曹合格して入校する『初級陸曹教育』過程で方面総監賞とる。
もうこの一択です。満点の95%かな?方面総監賞はでない期もあるので、周りにあわせてたら絶対無理です。部隊行ったら方面総監賞とった人いるはずなので、何すればいいか聞いてみるのがいいですね。
普通にやってても無理です、普通じゃないから方面総監賞なんですね。小さい部隊の最先任上級曹長目指すんだったら中隊長賞くらいでも十分です。
陸曹教育隊では『生徒』も入ってくるので、結構厳しいかもしれませんが、頑張ってください。
自衛隊は高卒以外で入隊するときつくない?
結論:大卒で入ってもやっぱり厳しいです。
大卒で自衛隊に入隊してもやっぱりきついです。大卒の方が総じてきついんじゃないかな?私はそう思います。
大卒で入隊する自衛官がきつい理由
- 1尉が一番自殺率たかい
- 陸士ではいったら4年遅くなる
大卒で一般幹候で入ったり、防大で入ったりする人は幹部で結構きつい事も多いでしょう。1尉の本部勤務なんかで仕事さばけなくなった人は、一番自殺が多いのでこれは本当にきついところです。
陸士が感じるきついとはちょっと違うきつさですね。
陸士の感じるきつさって、どちらかというと憎しみに近い。未来を知ってしまったエレン・イエーガーみたいなきつさですね。引用:進撃の巨人
大卒で『一般曹候補生』や『自衛官候補生』に入隊した人は高卒に比べて4年遅いわけですから、そりゃきついですね。大卒で自衛官候補生って・・素直に1任期で退職してホストになる方が稼げるかもしれません。
一般曹候補生の試験は高卒程度の試験なので、高卒の人でも普通にかんたんに合格します。それに比べ一般幹部候補生の結構難しいのであんまり合格率は高くありません。
MARCH以下の大学出身のひとはしっかり勉強しないと合格しません。国立の東大卒の人なんかも受験する試験なので覚悟して勉強しましょう。
高卒で自衛隊に入って経験する5つのきつい事のまとめ
今回は高卒で自衛隊に入隊した時にきつい5つの事についてお話ししました。おさらいです。
- 前期教育の3ケ月間で自衛隊の基礎を学ぶ
- 部隊配属のあとは人付き合いがきつい
- なにげに一番きついのが外出禁止
- 陸曹になるための試験は精神的にきつい
- 偉くなるのは難しいからきつい
いやー、きついとこばっかり書いていると、気が滅入ってきそうです。
色々書きましたが、言い換えればこれ以外はほぼ楽勝。メリハリがあって楽な所が多いのが自衛隊の良いところです。
あんまり悲観せずに今までに何万人も自衛官として勤め上げてるわけですから、あなたでも大丈夫、問題ありません。気楽に入隊して大丈夫です。