自衛隊の階級は隊員の年齢にあわせて上昇する目安が崩壊した現在
こんにちは、15歳で自衛隊に入隊して24年間勤務しました私が今回は自衛隊の階級と年齢の関係についてお話させていただきます。
自衛隊の階級は入隊後、徐々に上がっていきます。今回は年齢と共に階級はどのように上昇していくのかを紹介していきます。
昇任はどのようにして行われるのか?
そもそも階級の昇任はどのように行わるるかご存じでしょうか?ここでは試験で昇任する場合は除きます。警察の階級はほとんどが試験によって昇任するのに比べ自衛隊は違うようです。
自衛隊の階級の昇任は士官や下士官への昇任は試験で行い、その細部の昇任は試験ではなく選抜で昇任を決めています。
その昇任基準について、優先されているだろうなと予想できる順位ごとに発表しますます。
- 入校時の成績
- 賞罰
- 実務の評価
実際に昇任の選抜要件に詳しい規定があるわけではありませんが、傾向があるのは事実です。まず最優先されているのが、「入校時の成績」です。特に曹での昇任は大きく影響します。どの程度影響するかは後程詳しくお話しします。
その次に賞罰です。もちろん懲戒処分を受けていれば大きく昇任スピードを下げる理由になります。また懲戒処分後1年間は昇任がないのは、規定があり、懲戒処分後は1年間絶対に昇任しないという事ですね。
賞詞を受けると昇任に有利に動くことも大きいです。職務遂行の4級賞詞は昇任する事が前提で受ける事が多いので、特に何もやっていない3曹が4級賞詞をもらったならば、そろそろ昇任ですよ、事故しないように注意しましょうという事です。
その他にも自力で4級賞詞をもらう事もできます。業務改善提案や隊員募集は自力で賞詞を取る事の出来る少ないチャンスです。
このチャンスに挑戦するか、ぶーぶー文句言いながら「あーあ、なかなか階級あがらないな」と自衛隊人生緩く過ごすかどちらを選ぶかは自分で選択する事ができます。
業務改善提案の達を紹介しておきます
3曹になって、よし頑張って仕事してよい評価を受けて、早く2曹になるぞと張り切る隊員もいます。
確かに、実務の評価は昇任の要因の一つになりえるとも思いますが、実際のところはほとんど影響されないといっても間違いはあません。
早く昇任する隊員とは仕事ができる優秀な隊員ではなく、入校時に良い成績ででた優秀な隊員という事になります。ですので仕事ができるからと言って昇任していくわけではありません。
成績の良い隊員は仕事もできる傾向は高いですがそうでない隊員もいて、仕事はできないが階級だけどんどん上がっていく例もあります。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
自衛官の階級と年齢は防衛費が大きく関係する
引用:防衛白書
現在の階級の昇任は「非常にきびしい」といって間違いありません。幹部や士の階級は以前と大きく変わる事はありませんが、曹の階級昇任は10年前より大きく変わり、隊員からは「全く昇任していかない」と思えるぐらい昇任のスピードが遅くなりました。
これには、お金の問題が大きいようです。国家予算である防衛費は国会で決められます。毎年膨らむばかりの防衛費に歯止めを求める声はおおきいです。
そこで、目をつけられたのが人件費です。人件糧食費は防衛費の実に4割を超えるため、この費用をなんとか抑える方法はないかと考えたようです。それでも、自衛官は定員割れしており、ここから採用を抑えれば、そもそも必要な業務ができなく恐れさえあります。
ここ何年かは優秀な隊員の募集にも苦戦していますので、給料のベースダウンをすれば入隊希望者はごっそり減ってしまいます。現職隊員の昇任スピードを下げれば、全体的に人件費を抑える事もできます。
自衛隊の階級は年齢で昇任させると、ピラミッド型が崩れる
軍属の階級は上位に行くほど人員が少なくなる方がよいとされています。指揮系統上、命令を発する人がたくさんいても混乱するだけという過去からの歴史もあります。
そのため、現在は曹はなかなか階級は上がりません。もう少し正確に言うと、早く昇任する人は昔通り早く昇任しますが、それ以外の普通だったり遅めの昇任の隊員はがっつり昇任が遅くなっています。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
自衛隊の階級「士」はどのように昇任するのか
自衛隊の階級の一番下層の士は現在
- 2士
- 1士
- 士長
の3種類です。この階級は「一般曹候補生」や「自衛官候補生」の採用試験で自衛隊に入隊してくる隊員の多くがこの階級を経験します。
その昇任スピードは、成績や勤務態度で変わる事ありません。全員一律で同じ期間を勤務すると昇任します。それぞれの昇任が入隊後どのくらいの期間で到達するか表にまとめました。
一般曹候補生 | 自衛官候補生 | |
2士への昇任 | 入隊当日 | 3ケ月後 |
1士への昇任 | 6ケ月後 | 9ケ月後 |
士長への昇任 | 1年後 | 1年9か月後 |
陸上自衛隊の自衛官候補生は2年で任期満了ですので、1任期満了直前に陸士長に昇任する事になります。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
自衛隊の階級「曹」の昇任スピード
自衛隊の曹とは下士官の事です。特に懲戒処分がなければ以前は定年の時には必ず曹長になっていました。ですが最近は1曹の定年はもはや普通で、2曹での定年もおられます。実際の曹の昇任スピードを各階級ごとにまとめてみました。
3曹から2曹への昇任
3曹から2曹への昇任基準は曹になる前の陸曹教育隊の成績が大きく左右します。
成績と昇任スピードの関係を表にまとめました
陸曹教育隊の成績 | 10年前の昇任目安 | 現在の昇任目安 |
トップ | 4年 | 4年 |
上位10% | 5.5年 | 7年 |
中間 | 8年 | 10年 |
下位90% | 10年 | 12年 |
陸曹教育隊の成績が最上位付近の隊員の昇任はそれほど遅くなってはいません。最先任上級曹長制度がありますので、階級を上げたい優秀な隊員には今まで通り早く階級を上げていっています。
ですが、最先任上級曹長にさせるために早く階級上げても、優秀な隊員は幹部になってしまう(部内幹部候補生の試験を受ける)場合も有りますので、少し考え物です。幹部になりそうだから2曹にあげるのはやめておこう、という動きはあまりありませんが、正直今の昇任枠は非常に少ないのでもう少し考えてもらいたいと思っている隊員も多いです。
2曹から1曹への昇任
以前は2曹から1曹への昇任は3曹から2曹へ昇任した年数が目安でした。3曹→2曹8年ならば、2曹→1曹への昇任も8年ぐらいだろう、みんなそう思っていましたし、実際そうでした。
ですが現在は2曹になると入校する「中級陸曹教育」が過程教育に格上げされたことも有り、1曹への昇任には、また入校の成績が重要視されます。
まだ、導入されて久しいですのであくまで予想ですが、3曹→2曹と同じ昇任スピードになることでしょう。
自衛隊の階級は年齢と連動しなくなった
以前より自衛隊の主流であった年齢の高い者が階級上位という構図はだんだんと排除されようとしています。
これからはより能力主義の階級社会になるでしょう。そうすれば必然的に俸給表も見直さなければいけません。階級のバランスが崩れたとしても、給与のバランスを崩すことは反対です。数多い中層以下の人間の不満をないがしろにする団体は絶対に栄えません。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});