自衛官は災害派遣救助が本来の任務となった後、東日本大震災の時にも活躍されており、若い世代の憧れであり、人気の職業のひとつとされています。
自衛隊の退職をまとめてみます
本来国家公務員として安定しているはずなのに、自衛官はなぜ退職してしまうのでしょうか?
元自衛官として24年間勤務しました私が、解説していきます。
退職数・離職率は?
陸上自衛官の年間の退職者は何人いるのでしょうか?15万人いる組織ですので、相当の数いるのかもいれません。
防衛省に問い合わせたところ、「申し訳ありませんが、詳しい数字についてはお答えできません」ということでした。軍的な要素を持つ組織ですので、組織の能力を計られると困ります。詳しい数は公表していないようです。
それでも、事実相当数がいるようで、ふかぼりしていきましょう。
退職の理由
自衛官の退職理由には次のような理由があります。
自衛隊退職理由
- 訓練についていけない
- 指導されるのがつらい
- 組織の気質が合わないなどの、人間関係問題
- 団体生活がなじめなかった
精神的に追い詰められる
まず訓練についていけない、指導されるのがつらい。この二つは、入隊直後の若い隊員に多くほぼ全員が悩みます。入隊前の想像とギャップがあったのか
こういう理由には、別に本当の理由があります。
本当の理由は訓練についていけない自分を自分自身許すことができない、若しくは改善をせまられているが、もう努力を続けられない、
精神的に追い詰められているという事が理由です。
自衛官でも難しいコミュニケーション
人間関係を理由に退職する自衛官はすごく多いです。教育が終わり部隊で勤務を始めて、しばらくすると増えてきます。
上司や同僚、後輩の隊員とうまくコミュニケーションが取れない、団体生活がなじめい理由も人間関係がうまくいっていなかったからです。
ですが、自衛隊特有の体育会系的な性格だから周囲と馴染める訳ではありません。
生き残った者は変われた生き物だけ、ダーウィンの進化論のごとく、自衛隊でも組織の中で
自分を変えていった
隊員のみが長く勤務を続けられるのです。
退職防止の対策
私の勤務していた駐屯地には300人規模のある部隊で年間に15人程度の陸曹の退職がありました。この退職率は事実異常であり、その後上級部隊より監査が入りました。部隊の運営に誤りがないか、パワハラが日常化していないか等調査し、部隊の正常化を目指します。
このように自衛隊では退職隊員を被戦闘における損耗と位置づけており、各部隊で退職者が出ないように対策をとりますが、退職者の特に多い部隊にはテコ入れのため上級部隊が直接指導し改善を図りす。
退職の手順
退職の手順について解説します。
1 退職願いや退職の申し出をする
まず最初に上司に自分の意思を伝えます。熱心に引き止められる場合は、この時に話し合いをして、その後何度も面談することになります。その後本人の意思が固いことを確認すると
2 上級部隊に報告する
退職の辞令を出すのは相談した上司ではなく、ずっと階級の高い人間です。報告の過程で退職に陥った経緯を報告しますので、書類作成の時間など必要です。この頃より退職の準備として次の職を探すように指導されます。
3 近親者の同意
上級部隊への報告にあわせて、本人の了解をとり隊員の親や奥さんに退職の同意をとります。退職したのを知らない親が怒鳴り込んできたという事例もあったので、後にトラブルが起きないよう周りに気を留めます。
4 退職の日が決定
しばらくすると、退職の日が決まります。来週という事はありません。早くて1ケ月後です。隊員は退職準備を勧めます。訓練や特別勤務に就くことはないでしょう。もし重要な役職にいれば外れることになるでしょう。
5 退職日
退職当日、部隊で離職の挨拶ができます。もし朝礼の予定が無かったら、希望を総務に話してください。それこそ後にトラブルになるので、予定が組まれます。
退職の際に話すのは嫌だろうと総務が気を使っていることも有ります。
私の退職について
私の場合うつになりそうになった時に退職を申し出て、間もなく意思を尊重してもらいました。申し出たのが7月で退職は12月1日。
フリーランスとして仕事をする事にも納得いただき、退職までの期間が長かったのは準備をする時間が十分取れて助かりました。溜まっていた代休を消化しながら、総務の端に机をもらい雑務をする程度の毎日が始まります。中央式典への支援で朝霞駐屯地で勤務したことは、環境が変わり心を保つ要因ともなりました。
11月いっぱい在職しましたので、12月10日のボーナスは退職後でしたが満額いただきました。
陸上自衛隊で自衛官候補生と幹部・陸曹の離職はそもそも違う
こんな書き込みがありました
結婚の話はおいといて、辞めさせられるという表現が少し気になりましたので・・・
確かに陸上自衛隊からは毎年たくさんの若い自衛官が退職していきます。
幹部・陸曹の離職と自衛官候補生である陸士の離職は根本的に違いますので、解説します。
幹部や陸曹の退職
若い幹部や陸曹がもし退職を申し出た場合は、正直大変な事です。
これから定年まで何年も自衛官として勤務するはずだったのに、これまでの教育にかかった予算は一体いかほどでしょうか。これを国損と言います。人員整理を予定している民間企業とは全く違うといえます。
ポストに穴が開いてしまう事も大変ですが一緒に働く仲間意識も加わり、上司・同僚は引き止めようとするでしょう。
上級部隊も巻き込み幹部・陸曹の退職には大変な労力が費やされます。
退職を昇任できる人間が指揮系統上すごく上の人間だからです
退職の承認者
陸曹・士であれば連隊長
幹部であれば幕僚長
自衛官候補生の退職は?
自衛官候補生の任用はそもそも、2年の任期が設定されてあります。「あなたが自衛隊にいるのは2年だけですよ」そういう意味です。入隊後2年が経ち、本人が2任期目を希望すれば、部隊長が隊員を評価して次の任期を続行するか決めます。2任期目を継続して勤務したとして、3任期目への継続は本人が希望していても継続する事は少ないです。2任期を満了して退職する隊員がほとんどです。
これには過去、4任期、5任期と続けた隊員が民間へ就職した際、どうしても馴染めずうまくいかないというケースが多くみられました。また民間がそういった隊員を欲しなくなった経緯があります。
先の彼女さんの自衛官はおそらく自衛官候補生として陸上自衛隊に入隊されたのでしょう。
4年勤務していれば、途中で陸曹への選抜試験が2回は受験できます。その時に合格していなかったのだから、確かに努力が足りなかったのかもしれません。
それでも、もともと任期満了までの約束で入隊した隊員ですので、辞めさせられたのではないと誤解されませんように。
一般曹候補生
同じく2等陸士で入隊した一般曹候補生ですが、こちらには任期がありません。選抜試験で合格すれば陸曹になりますが、入隊後7年で全員を陸曹にするよう教育、指導します。その熱心な指導から、退職を申し出る隊員も出てきます。上司や同僚は予期せぬ退職の申し出として、引き止めができないか模索します。
退職まとめ
せっかく安定の国家公務員に就職したのですから、定年まで仕事を続け、高いと噂の退職金をもらいたいものです。
そのためには
- 入隊に際し、試験を選ぶ
- より柔軟な精神をもてる柔軟さをもつ
以上の二つが重要なようです