こんなお悩みの方は陸上自衛隊で24年間勤務して、最近も内部事情を調査している百さんが開設していきます。
本記事の内容
- 3曹から2曹になるまでの期間
- 昇任を早くする方法
- 大切な昇任の『進捗率』について
- 生徒、一般曹候補生、自衛官候補生の昇任の違い
今回の記事では皆さんが気になる3曹の隊員はどのくらいで昇任できるのか?また何をしたら早く昇任できるのか?を解説していきます。
昇任早くすると、生涯もらえる給料は間違いなく多くなります。最近は定年1曹が多くいますし、処分貰ってると、2曹定年もあり得ます。
今回の記事をよく読んで、早く昇任する方法を実践してください。
また、便宜上、陸曹や陸士など、陸上自衛隊中心に紹介していますが、海上、航空も大差ありませんので、読み替えてください。
自衛隊で3曹から2曹になるまでの期間
結論:3曹から2曹までの期間は4年~約13年
まずは結論からですが、重処分(停職6日以上)など貰ってれば、これより遅くなります。あくまで、普通の隊員です。
すごく長い期間ですが、これらを決めていく要素も紹介しないといけません。
3曹から2曹の昇任期間が決まる要素
- 初曹教育での成績
- 進捗率と部隊枠の昇任
- 賞詞
大きくこの3つで決まります。他にはありません。少し聞きなれないのでのちほど詳しく解説していきます。
思いのほか昇任に関係ない要素
- 勤務評価
- 昇任の上申
- 仕事ができる
ここを勘違いしている人が多いので、必ず紹介しないといけないと思っています。
それでは3曹から2曹の期間と、紹介した要素がどのように関係しているかを深堀していきます。
3曹から2曹になる期間はどうやって決まるのかを解説
3曹から2曹の昇任期間が決まる要素
- 初曹教育での成績
- 進捗率と部隊枠の昇任
- 賞詞
ほぼこれらの要素が複雑にからみあって個人の昇任にかかる期間が決まります。
なかなか聞きなれない、専門用語でもありますので、深掘りしていきます。
3曹から2曹の期間はほぼ成績順
結論:昇任は成績順です。仕事できる人ではありません
『初級陸曹過程』、3曹の選抜試験に合格してこの過程を卒業しなければ3曹昇任できませんが、この成績で3曹の期間が決まります。『中曹教育』『上曹教育』も同じ過程教育で重要ですが、『初曹』の成績は唯一陸曹である限り将来まで続いていきます。幹部にならない限り、とても大切な要素です。
『進捗率』と『部隊枠』について
結論:進捗率と初曹の成績はほぼ連動している。
『進捗率』とは昇任がどの程度すすんでいるかの百分率です。同じ年度に3曹に昇任した隊員が一つの枠になり、この枠の中で昇任を競います。
進捗率20%であれば、同じ期の隊員が100人いれば成績上位20人が2曹にほぼ昇任しています。
結論から言いますが、進捗率は決まっているものではありません。最近のおおむねです。部隊の状況によって変わりますので、おおむねとおもって参考にしてください。
経過年数 | 進捗率 | 適用 |
1年 | 0% | |
2年 | 0% | |
3年 | 0% | 普通はここまで昇任しません |
4年 | 約2% | |
5年 | 約5% | ここまでが所謂1選抜 |
6年 | 約10% | |
7年 | 約15% | |
8年 | 約20% | |
9年 | 約30% | |
10年 | 約40% | 10年くらいから急に増えてくる |
11年 | 約60% | |
12年 | 約80% | |
13年 | 約95% | |
14年 | 約98% | |
15年 | 約98% | |
16年 | 約98% | 以降も進捗率は100%にならない、と思う |
進捗率の最近の傾向
- ひと昔前に比べて昇任しにくくなった
- 成績普通だったら、11年は覚悟するべき
- 最先任要員用で優秀な隊員は昔と一緒で早い
- 進捗率は100%にならない。多分
- 進捗率は知っている人しか知らないよ
部隊枠の昇任ってなに?
結論:1次部隊の権限で個人を昇任させることができる。
特定の隊員を2曹に昇任させることができます。枠の人数は1次部隊の規模にもよりますがとても少ない数です。成績に関係なく個人を指定して昇任させやすい、使い勝手のいい昇任枠になります。
1次部隊なので、あなたの中隊の中隊長に決める権利はありません。
先に紹介した『進捗率』は何年たっても100%になりません。言い換えると一生2曹に昇任できない人が一定人数出てきます。
しかしこれでは、隊員の士気にも大きくかかわってきます。ここで使われるのが『部隊枠』を使った昇任です。
昇任した時、『あなたは部隊枠での昇任です』。なんて文書はでませんが、現在の制度では同期の中で最後尾の昇任は間違いなく部隊枠での昇任になります。
4級賞詞をもらえば昇任する3曹から2曹の期間は早くなるのか?
結論:任務遂行の4級でなければ早くなる。
『職務遂行』で4級賞詞もらったら、もうすぐ2曹昇任が近づくのは確かですが、正しくはもうすぐ昇任するから先に『4級賞詞』がきます。
選考の時に、この隊員は4級賞詞もらってるから昇任に値するよね、っていう理由づくりの為です。
4級以上の賞詞はとても強力って事なので、別に4級以上の賞詞をもらえば、成績と関係なく昇任期間がぐっと早くなります。
東京オリンピックで金メダルとった隊員は1級賞詞もらっていましたが、普通の隊員では現実味がありません。
現実味のある4級賞詞
- 縁故募集
- 改造提案
- 業務改善
例えば、『縁故募集』の4級賞詞。今は通算で10人くらい入隊させれば、だったかな、4級賞詞がもらえます。
最新の装備品は、つくりが適当だから改造提案し放題です。『安い、簡単、安全』これを実現した改造提案は4級賞詞に近づきます。メーカーも納得させる改造提案を作りましょう。
改造提案は文書でだす必要があるので、まずはその文書(通達)を探しましょう。
生徒や一般曹候補生で2曹になる期間に差ができるのか?
結論:任用区分で昇任に差はでない
昔は、生徒(少年工科学校)は昇任枠が違ったので、一般曹候補士とは明らかに昇任期間が違いましたが、最近は同じ枠での昇任になります。
生徒(高等工科学校)も専用の区隊で初曹教育に参加します。ですが、素養の高い生徒は現実的には全体的に成績が良く、結果的に早く昇任します。
素養が高くても、やる気がでなくて成績が悪かった生徒の人は最先任の道はないので、幹部になる人が多いです。
幹部になったら、陸曹での成績や賞罰はすべてチャラになるので、そっちの道も考えましょう。
昔は官品の戦闘服着たくなくて陸曹のままの人もいましたが、今の迷彩はなかなか着心地もいいです。
幹部になって、異動続けて、広域異動手当が付き続く自衛隊人生もなかなかのものです。
3曹から2曹になる期間に思いのほか関係のない要素
昇任に関係あると思われがちな要素
- 勤務評価
- 昇任の上申
- 仕事ができると周りからの評価
これらは、正しくは全くないわけではないけど、期待するほど関係ないよ、という要素です。
2曹に早く昇任したいからといって、『勤務評価』や『周りから信頼』される仕事してもほぼ昇任には関係ないってことです。
勤務評価よかったら何が変わるの?
こう考えるのは自衛官にも多いですが、あまり関係ありません。でもボーナスには効果てきめんです。
勤務評価はボーナスで『A』や『S』をもらうためのもの。昇任するための評価ではありません。
勤務評価上げるのは、直でボーナスにつながるので、勤務評価上げるために努力するのはいい事ですね。
昇任の上申と周りからの評価は昇任に関係するのか?
結論:周りの隊員の評価は関係ゼロ、上申の文書もうたがわしい。
仕事がんばって、自分の仕事している同僚や指揮系統上上位の人や中隊長の評価を受けている隊員でも、3曹から2曹の期間を縮めることは全くありません。
仕事できる人と昇任する人は必ずしも一致しないってことです
昇任の時期になると、部隊が昇任してほしい隊員を1次部隊に上申します。ちゃんと文書で上げるのですが、これも懐疑的です。
文書としてるので、一定の選考考慮には入ると思いますが、上申通りに昇任はしないと思ってください。
中隊の人事陸曹が頑張って作った文書もほぼ『無理ゲー』だと思っていいです。
自衛隊で3曹から2曹になるまでの期間のまとめ
今回の記事で、3曹から2曹になるまでの期間について知ってもらえたと思います。
- 『初曹特技過程』の成績が大事
- 成績真ん中なら約10~11年
- 成績わるかったら、意地で4級賞詞を狙う
- 幹部も考えよう
- 普段の仕事頑張っても昇任はしない
総合的に自分の将来を考えて、一度きりの人生ですから後悔のない自衛隊生活をエンジョイしましょう。