たくさんの人が入隊する2つの試験ですが、よく似ていて違いがよく分からない人が多いと思います。
今回の記事は、どちらで入隊しようか迷っている人に向けて記事を書きます。
本記事の内容
- 一般曹候補生と自衛官候補生の違い
- 3曹昇任試験とは何か
- それぞれで入隊した隊員のその後
曖昧だった一般曹候補生と自衛官候補生の違いをよく理解して入隊した後に後悔しないようにしましょう。
入隊した後に皆さんが後悔しないように。よく知らなかった、思っていたのと違ったから辞めたいと思う人がゼロになるように記事を書きます。
一般曹候補生と自衛官候補生の入隊前には分からない7つの違い
入隊前に分からない理由は、たった一つ。地本の広報の隊員は絶対に言わないからです。
一般曹候補生と自衛官候補生は実は大きな違いがあります。
一度入隊すると戻れませんし、軌道修正するのも直ぐにはできないので、しっかり理解して自分の道を決めましょう。
一般候補生と自衛官の入隊前には分からない7つの違い
- 勤務年数
- 3曹選抜試験の違い
- 自衛官候補生の大きなメリット任期満了金
- 採用試験の違い
- 階級の上がるスピードが違う
- 給料の違い
- 退職する時の違い
ひとつづつ詳しく解説していきます。
1、最大の違いは勤務年数
- 一般曹候補生は定年まで勤務
- 自衛官候補生は2年の任期での勤務
これが一般曹候補生と自衛官候補生の最大の違い。自衛官候補生は2年の任期で退職することが前提です。
確かに自衛官候補生は任期の希望をすれば延長されることもあります。
ほとんどの隊員が陸上自衛隊なら2期満了4年までで9割以上が退職です。希望しても3任期目は継続できません。
陸上自衛隊では、任期を長く続けている隊員よりも新しいフレッシュな隊員を早く循環するようにしています。
これは予算の問題もありますが、長く続けると変な知恵がついてだんだん仕事の意欲が減ったり、反発が増える隊員が増えるからです。
知識が有って反発する陸士よりも、素直で従順な陸士を優先させたいってことです。
海上自衛隊や航空自衛隊は1任期目が3年で2期目以降は2年。海上や航空は3期目、4期目の隊員もいます。
任期を長く勤めたいと思う人は、海上や航空自衛隊の方がおすすめです。でも任期の隊員で士長をな永くやっても、その後の仕事にあまり役に立たないのでおすすめはできません。
2、一般曹候補生と自衛官候補生の3曹選抜試験の違い
確かに地本の人もそう説明すると思います。間違いではないですが、残念ながら実態は全くの別物です。
- 一般曹候補生は同期内の序列決め
- 自衛官候補生は優秀な人だけ合格
少しだけ3曹選抜試験の概要を紹介します。
- 3曹選抜試験の概要
-
- 試験は1次部隊が行う
- 一般曹候補生は期別毎に相対的に比べる
- 自衛官候補生は全ての隊員を相対的に比べる
- 試験範囲はほぼ同じ
- 半年に1回、1年に2回試験が実施浅れる
3曹昇任試験は、1次部隊の中で行われます。師団や旅団のような大きな1次部隊もあれば、規模の小さな1次部隊もあります。
1次部隊の中で独自に試験が行われるので、自衛隊が仕切って全自衛官に同じ試験をしている訳ではありません。
なので、1次部隊が違えば試験問題も変わります。
配属になった1次部隊で試験に合格しやすいや合格しにくいは、間違いなくあります。
でも1次が筆記試験、2次が体力検定、面接、基本教練なのは一緒です。
試験範囲はどこの部隊も大きく変わることはありません。
1次部隊が部隊に必要な人材を合格させるわけです。1次部隊っていうのは規模にかかわらず、士長を3曹に昇任させることができるってことですね。
一般曹候補生の3曹選抜試験は同期内の序列決め
一般曹候補生の試験は実質は同期の中での順番決めです。同期内で試験をやって先に3曹に昇任する隊員とゆっくり昇任していく隊員をここで決めます。
同期の中で成績を比べるので、1年先輩や1年後輩の試験の点数は合格には関係ありません。
同期の中で成績の良い順に合格していくので、全員が特別優秀だとしても1回目の試験で全員が合格する事はありません。
7年を目途に3曹に昇任するということは、3曹昇任試験が毎回悪かったとしても、同期がいなくなって最後にはところてん方式で合格するイメージです。
何回も受けてる隊員でも、最低限のやる気をがあるような点数なら1次試験は最終的に合格になります。体力検定はガチで合格しなければいけませんが、腕立て伏せなんかはちょっとまげて1回になるかもしれません。良くも悪くも1次部隊で試験するってことはそういう事です。
所属している部隊はなるべく早く一般曹候補生を合格させたいと躍起にもなり、試験対策の教育をします。
『何名合格させた』とか『早く合格させた』が成果になるので教育内容はとても厳しい教育です。
一度不合格になると、半年後に再試験です。厳しい教育をまた受けるのが嫌だから『辞めたい』と言い出す隊員が約2割くらい。
実際に一般曹候補生で退職していく隊員は3曹選抜試験合格のための教育をやりたくないからが多くいます。
自衛官候補生の3曹選抜試験の合格は基本無理ゲー
自衛官候補生が3曹選抜試験に合格するのは実質10%
自衛官候補生の3曹選抜試験の特徴
- 士長になるのが遅いので、受験回数は実質2回だけ
- 自衛官候補生が3曹に昇任するには優秀であるべき
- 師団などでは連隊単位で試験がある
- 比較対象は期別ではない
- 部隊の都合や時期によって合格数は大きく変わる
自衛官候補生が3曹選抜試験の試験を受けるのは入隊後約3年半後。1任期満了して2任期目に初めて受ける事ができます。
一般曹候補生より1年遅れで受験になります。
多くの隊員は3任期目にはいけないので、実質2回しか受験できません。
自衛官候補生で合格するひとはとても優秀な必要がある
そもそも自衛官候補生で入隊する人は、曹としての素養に達していない隊員です。
素養の低い評価を覆してまでの合格を目指しているので、とても優秀な成績で試験を突破する必要があります。
序列をつけるための一般曹候補生の試験とは意味合いが違います。
一般曹候補生の試験は受験を繰り返すたびにハードルは低くなるのですが、自衛官候補生の試験は基本的にハードルが下がることはありません。
自衛官候補生の合格は足りない陸曹の補充
師団などの1次部隊の状況で自衛官候補生の合格者数は大きく変わります
人員の充足数が少ない時は多くの合格者数が出やすいですが、充足数が多い部隊では自衛官候補生の合格者数は抑えられます。
配属された部隊の状況によって合格者は安定しないのが普通で前年の合格者数が多かったからと言って今回も多いとは限りません。
3、自衛官候補生のメリットは任期満了金
陸上自衛隊で2任期の満了金は併せて約200万円
公務員の身分を捨てて退職するひとの事を考えて、早期退職の手当に近いような大きめの金額が支給されるのは自衛官候補生の最大のメリットです。
1任期目約57万円。2任期目約144万円。1任期目にもらわないで2任期目にあわせてもらうと10万円くらい多めにもらえます。
一般曹候補生がもし4年で退職したいと思ったらとっても少ないです。退職金ですので自己都合で4年だと支給率は約2倍で、40万円くらいになります。
4、一般曹候補生と自衛官候補生の採用試験の違い
試験範囲は高校の問題ですが難しさが違います。一般曹候補生は正解率75%くらいは必要
一般曹候補生の試験は中学生の成績が上位40%くらいの人が合格します。高校の試験なので高校で勉強頑張った人は合格できるでしょう。
自衛官候補生はだいたい受かります。問題もそれほど難しくはありません。
試験範囲はどちらも高校の問題が出題されますが、一般曹候補生の試験の方が難しく合格率も低いです。
自衛官候補生は正直間違いが多くても結構な確率で合格できる、一番簡単に国家公務員になる方法です。
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5、階級の上昇するスピードが違います
自衛官候補生は入隊直後は階級がありません。また一般曹候補生の方が総じて早く階級は昇進していきます。
一般曹候補生 | 自衛官候補生 | |
2士 | 入隊日 | 3ケ月後 |
1士 | 6ケ月後 | 1年後 |
士長 | 1年後 | 1年9か月後 |
3曹(1選抜) | 約3年 |
試験合格後に教育隊への入校の時期もあるので部隊によって多少前後しますが、一般曹候補生は1選抜で合格して約3年で合格になります。
自衛官候補生は基本3曹に昇任はしないので記入していませんが、一般曹候補生に比べて1年遅れで受験資格が持てるので4年くらいになります。
3曹に昇任したその後は一般曹候補生も自衛官候補生も階級の昇任スピードに違いはありません。
初曹教育の成績順に階級が昇任していくと考えましょう。
6、一般曹候補生と自衛官候補生の給料の違い
給料の差は大きくないが、一般曹候補生の方が早く昇任するのでその分給料は少し高い
給料は俸給表に書いてある分を給料でもらいます。これより下がることはありません。
号俸 | 士長 | 1士 | 2士 |
1 | 186,800 | 186,700 | 179,200 |
2 | 188,700 | 188,600 | 180,400 |
3 | 190,600 | 190,500 | 181,600 |
4 | 192,500 | 192,400 | 182,800 |
5 | 194,300 | 194,200 | 184,000 |
6 | 196,100 | 195,200 | 185,200 |
7 | 197,900 | 196,200 | 186,400 |
8 | 199,700 | 197,200 | 187,600 |
9 | 201,400 | 198,100 | 188,800 |
10 | 203,700 | 199,100 | 190,000 |
続く |
- 一般曹候補生も自衛官候補生も2士の1号俸から
- 4年大学を卒業している人は2士の9号俸からスタートです
- 給料は毎年1月に基本4号俸上がります
階級が上がると給料はどれくらい上がるのか
階級が上がっても実際の給料はあんまり上がりません。しかし、1士への昇任は7000円くらい上がります
2士1号俸→1士1号俸
179,200→186,700
1士から士長に昇任した時はこんなに上がらないので過度に期待しないように心の準備はしておきましょう。
自衛官候補生は入隊後3ケ月までは少なめ
自衛官候補生の入隊後階級が付く前の給料:142、100円。
自衛官候補生は入隊して直ぐは2士の階級もないので俸給表の給料はもらえません。階級のない自衛官候補生は給料少なすぎです。
ですが安心してください、2士になると自衛官候補生だけ自衛官任用一時金がもらえます。
自衛官任用一時金:221、000円
この任用一時金は任期満了前に退職すると返納しないと行けなかったりするので、なるべく任期満了までは続けましょう。
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一般曹候補生がもらえる給料を入隊する前によく知っておこう
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7、退職する時の違い
自衛官候補生が任期満了で退職する時はかんたんだが、それ以外は数か月の時間がかかる
自衛官は国家公務員で辞めるのはけっこうの手間と時間がかかります。
人事で働く人が退職申請あげますが、もう申請もめんどくさいので基本引き止めます。
任期満了で辞めるのが一番簡単でみんながウィンウィンになるのですが、どうしても辞めたいときはしょうがないですね。
どうしても自衛隊の生活に馴染めずに辞めたくなってしまう人はたくさんいます。行くも地獄で、戻るも地獄。
辞めるまでは先任や隊長に何度も呼ばれて個人面談する事になります。
思いとどまってくれた方が楽なので一生懸命に『なんとか任期満了まで頑張れ』と励まします。
そんな面談を何度もやってるうちに任期満了になる人も多くいます。結局任期満了までやった方がお金的にはだいぶ得するので頑張った方がいいでしょう。
一般曹候補生はそもそも退職を想定していない
一般曹候補生はそもそも定年までの勤務を想定しています、その気がないならやめておきましょう。
一般曹候補生が退職する時のデメリット
- 直ぐ辞めることは難しい
- 退職金が少ない
- 就職先が限られる
一般曹候補生が3曹にならずに辞めたいとおもっても、デメリットが多くお勧めはできません。詳しく解説します。
一般曹候補生は直ぐ辞めることはできない
一次部隊長の決済が必要でとにかく時間と労力がかかる。とめられて結局続ける人が多い。
国歌公務員が定年以外で退職するのはとても大変だと思ってください。
それも本人が仕事や環境が嫌になって仕事を辞めたいと言い出したら、皆で頑張って続けるよう励まします。
近年、ニュースなどで元自衛官の事件や不祥事を伝えるニュースもありました。
退職する人の多くは金銭的に貧しくなることが多いので、事件防止の為にも退職を止めるようにします。
一次部隊長も次の就職先が決まっていなかったり、本人が嫌で辞めたいとか言ってると、直ぐに許可はできません。
本人の職場変更や環境の変化を試したかなども聞かれるため、部隊の人事担当も退職希望だからと言ってホイホイ話は進めないでしょう。
皆が退職を止めてくるし、時間が経つとやめたい気持ちも変化していって、いつの間にか3曹になっていたみたいな人がほとんどです。
一般曹候補生と自衛官候補生の違いのまとめ
今回の記事で一般曹候補生と自衛官候補生の違いを理解できてそれぞれのメリットとデメリットの概要をご理解いただければ幸いです。
私のブログでは他にも自衛官になるための記事がたくさんありますのでご確認ください。
一般候補生と自衛官の7つの大きな違い
- 勤務年数
- 3曹選抜試験の違い
- 自衛官候補生の大きなメリット任期満了金
- 採用試験の違い
- 階級の上がるスピードが違う
- 給料の違い
- 退職する時の違い
自分の将来を考えるのはとても難しいことですが、一度過ぎた年齢や時間は二度と戻りません。
後悔しないように、しっかり考えてどちらで入隊するか決めましょう。